1. 学力不振と不登校──“わからない”が続くと子どもはどう感じるのか

行政

学力不振と不登校──“わからない”が続くと子どもはどう感じるのか

2025.11.26(Wed)

近年、 文部科学省 が実施した「令和4年度 『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』」によれば、義務教育段階における小・中学校の 不登校児童生徒数は約29万9千人(全児童生徒の3.2%) に達し、5年間で倍増に近い増加傾向を示しています。

さらに、同調査では不登校のきっかけとして「学業の遅れや宿題の未提出」が把握された事例も報告されており(例:「学業の不振や頻繁な未提出が見られた」)

つまり、“勉強がわからない”“授業についていけない”という感覚が、子どもたちの「学校に行きたくない」という気持ちを育て、不登校につながる可能性があるという課題が浮かび上がっています。
本記事では、「学力不振 × 不登校」という観点から、子どもが抱える“わからない”という経験が学び・居場所・学校復帰にどう影響するのかを整理します。

不登校が抱える大きな課題──“わからない”の連鎖が生む学びの断絶

勉強がわからないまま授業が進むと、子どもは「自分は取り残されている」「周りはできているのに自分だけわからない」という孤独感や焦りを抱えやすくなります。
こうした「学力不振」「学びのつまずき」が積み重なると、子ども自身が「学校に行っても意味がない」「授業中恥ずかしい」と感じるようになり、結果として登校を避ける選択が生まれることがあります。

特に、不登校の児童・生徒の中には「授業の内容が理解できない」「宿題が終わらず授業に参加しづらい」「テスト結果が悪くて先生や友人に気まずくなる」という経験を持つケースが少なくありません。こうした経験が「学びの場=プレッシャーの場」というイメージを子どもに与えてしまい、通学や授業への意欲低下につながることがあります。

また、子どもが“わからない”と感じても、教職員や保護者がそのサインを見逃しがちであるという点も課題です。事実、文部科学省の調査でも「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」が不登校児童生徒について把握された事実のひとつとして示されています。

こうした学びのギャップが蓄積されると、「学びからの断絶」が生じ、学校復帰・社会参加・将来の進路選択といった点にも長期的な影響を及ぼす可能性があります。

支援の鍵は“わからない”を放置しないこと──学び直しと居場所の確保

学力不振を原因とする不登校に対しては、まず 「授業や宿題がわからない」という子どもの声を拾う仕組み」 が重要です。以下のような支援策が考えられます。

・少人数・マンツーマンの補習・相談体制:授業でわからなかった部分を振り返る時間を設け、子どもが疑問を出せる安心な環境をつくる。

・学習ペースの見直しと段階的参加:「全体授業からいきなり参加」ではなく、短時間登校や特別教室で学びを再構築する機会を提供する。

・教職員・保護者との情報共有と早期発見:「宿題未提出」「授業中居眠り」「提出物が減った」といった“学びのサイン”を共有し、子ども自身が“わからない”“置いていかれている”と感じる前に支援につなげる。

・自己肯定感・学習意欲を支える関わり:わからないことを責めず、「ここから始めていい」「一歩ずつ進んでいる」という声かけを行い、子どもの安心感を高める。

・多様な学びの場の活用:通常授業以外にオンライン学習、フリースクール、校内教育支援センターなど、子どもが“わからないまま離れてしまう”を防ぐ選択肢を用意する。

こうした取り組みによって、「学力不振 → 学びに参加できない → 不登校」という悪循環を断ち切り、子どもが自分のペースで「学びに接続できる状態」を取り戻すことが期待できます。

未来を見つめて──“わからない”から“わかる”へ、安心して学べる環境づくり

「学力不振」が原因になって不登校に至る子どもたちは、“わからない”という感覚の中で、学び・学校・自分自身を否定しがちです。けれども、教育現場・家庭・地域・行政が「学びのつまずき」=子どものサインと捉えるようになることで、子どもが学び直し、安心して通える“学びの場”を探す道が開かれていきます。

文部科学省も「誰一人取り残されない学びの保障」を掲げており、不登校児童生徒を含むすべての子どもが学びにつながる環境整備を進めています。

今後は、学びを「授業さえ出ればいい」という量の視点から、「子どもが理解できて進める」という質の視点へと転換していくことが重要です。キーワードである「学力不振」「不登校」「わからない」「学びの場」「学校復帰」を意識しつつ、子どもが「学びたい」「学校に居場所を感じる」という感覚を持てるような環境づくりが求められているように思われます。

学びの入り口でつまずいた子どもが、「自分でもわかる」「ここなら安心して聞ける」という体験を重ねることで、再び学校という学びの場につながる可能性が大きく広がります。

令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00005.htm?utm_source=chatgpt.com
令和2年度 不登校自動生徒の実態調査
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf?utm_source=chatgpt.com

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