1. 親自身のメンタルが揺らぐとき──不登校支援に必要なのは“親を支える仕組み”

行政

親自身のメンタルが揺らぐとき──不登校支援に必要なのは“親を支える仕組み”

2025.12.05(Fri)

文部科学省「令和5年度 不登校等に関する調査」では、
不登校の児童生徒の約 38.8%が学校内外の相談・支援につながれていない という実態が明らかになっています。
これは、子どもだけでなく 家庭全体が孤立しやすい状況 が生まれていることを示しています。

また、長期欠席(30日以上)の児童生徒のうち、
約55%が90日以上の長期化 に至っており、
「家庭内で親が支え役を続ける期間が長期にわたりやすい」という現実もあります。

つまり、
不登校は“親のメンタル”にも深く影響する問題であるにもかかわらず、親自身の支援が行き届かない
という課題が浮き彫りになっています。

“親のメンタル”は見えにくく、支援が届きにくい

不登校が続くと、最前線で子どもを支える親の心は大きく揺れます。明日は行けるかもしれない、また行けなかった、このままで本当に大丈夫なのだろうか――そんな不確実な毎日のなかで、自分の判断が正しいのか迷い続け、方針が見えない不安に飲み込まれてしまうことがあります。

加えて、「甘やかしているだけでは?」「親のしつけの問題じゃない?」といった周囲の何気ない言葉は、親に深い罪悪感を残し、自分を責める気持ちを強めてしまいます。
親戚やママ友の無意識な比較や偏見は、心の負担をさらに重くし、本音を話しにくくする原因にもなります。

子どもが家で過ごす時間が増えると、家庭は常に緊張状態になり、親自身が休む場所や時間を失いがちです。仕事との両立が難しくなったり、きょうだいとのバランスに悩んだり、気持ちを吐き出す相手がいないまま日々が積み重なることもあります。

親が疲弊していくと、家庭全体の空気も重くなり、子どもにとっての安心感も揺らいでしまうことがあります。不登校は子どもだけの問題ではなく、親の心にも深い影響を与えるものです。
親が孤立せず、安心して支えられる環境が整っていることは、子どもの回復にも大きく関わってきます。

子どもと同じくらい「親を支える仕組み」が必要

① 親が孤立しないために“相談先の複線化”が必要

不登校支援は、学校だけが担うものではありません。
複数の相談先を持つことで、親の精神的負担は大きく軽減されます。

例:
教育支援センター(適応指導教室)
自治体の子育て相談窓口
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー
オンライン不登校コミュニティ
NPO・親の会
チャット相談(24時間対応の自治体窓口も増加)
専門家に話すことで、
“自分一人が抱える必要はない” と感じられる瞬間が生まれます。

② 親自身が“休める時間”を確保する
支援の中心は子どもですが、親が倒れてしまうと家庭全体が崩れてしまいます。
ショートステイや一時預かりの活用
親だけのカウンセリング
学校・支援機関との役割分担
家族やパートナーに小さな役割を頼む

“親が休むことも支援の一つ”という視点が必要です。

③ 「親の心の揺れ」を否定しない社会に
親はつい、
「もっと頑張らなきゃ」
「私がしっかりしないと」
と自分を追い込みがちです。

しかし不登校は、親が強ければ解決するものではなく、家族で寄り添いながら進むプロセス です。

親の不安や涙は弱さではなく、子どもを想う強さの裏返しです。

“親を支えること”が、子どもを支えることにつながる

不登校は、子どもだけの問題ではありません。
家庭の負担、親のメンタルの揺らぎ、
孤独感や無力感――
そのすべてが、支援の対象であるべきです。

これから必要なのは、
・子どもと親を“セット”で支える仕組み
・親が安心して相談できる場の拡充
・家庭を追い詰めない柔軟な学びの選択肢

など、家庭全体を見守る包括的な支援です。

親が安心すれば、
その安心は子どもに必ず伝わります。

“親を支えることは、子どもの未来を支えること”
──その視点が、不登校支援の中心になる社会が求められています。

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