真面目すぎる子どもがつまずく理由──“頑張りすぎて学校に行けなくなる瞬間”

行政

真面目すぎる子どもがつまずく理由──“頑張りすぎて学校に行けなくなる瞬間”

4PV

2025.11.27(Thu)

文部科学省が公表した「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、不登校の小中学生が 34万6,482人と過去最多となり、11年連続で増加しています。
また、不登校児童生徒の相談内容としては、
「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」32.2％
「不安・抑うつに関する相談」23.1％
「生活リズムの不調」23.0％
が上位を占め、心理的な負担や緊張の蓄積が背景にあることが読み取れます。

この「見えにくい心理的な負担」は、まじめで頑張り屋の子どもほど抱え込みやすいと言われています。
友達の言葉を正面から受け止めすぎる
先生や大人をがっかりさせたくない
自分の弱音を“わがまま”だと思ってしまう
小さなミスにも必要以上に落ち込んでしまう

こうした“真面目さ”が、
ある日突然、学校に行けなくなるきっかけになることがあります。

昨日までは大丈夫だったのに……“真面目さ”が心の重荷になるとき

真面目な子どもは、表面上は「問題がない」「手のかからない子」と見られやすい一方で、
内側では日々、強い緊張や責任感を抱えています。

▶︎ 周囲の期待を“背負いすぎてしまう”
先生・友達・親の期待に応えようとするあまり、多少無理をしても「大丈夫」と言ってしまう傾向があります。
本当は疲れていても、具合が悪くても、我慢を続けてしまいます。

▶︎ 弱音を“出してはいけない”と思い込む
「逃げていると思われたくない」「迷惑をかけたくない」という気持ちが強く、SOS を出すハードルが極端に高いのが特徴です。
そのため、限界まで気づかれず、ある日突然
朝起きられない
教室に入れない
身体症状（腹痛・頭痛）が強く出る、といった形で、不登校として表面化することがあります。

▶︎ 他人の言葉・評価に過敏
まじめな子ほど、友達の何気ない一言や先生の注意も正面から受け止めます。
「自分が悪い」「もっと頑張らないと」と必要以上に自分を追い込んでしまうため、心のストレスが蓄積しやすいのです。

▶︎ “肩の力を抜く”経験が少ない
小さい頃から「いい子」「頑張り屋」と言われ続けると、“脱力する”経験そのものが不足します。
「サボる」「休む」「頼る」ことを知らないまま成長し、中学校・高校で心が悲鳴をあげるケースも少なくありません。

“真面目さ”を否定せず、心の負担を軽くする支援

真面目さは決して悪いことではありません。
むしろ長所であり、人生を支える力にもなっていきます。
大切なのは、その真面目さを子ども自身が“自分を苦しめる方向”に使わないようにすることです。

1. 「頼っていい」「弱音は悪くない」というメッセージを伝える
真面目な子は、弱音や甘えを“ダメなこと”と認識してしまいます。
周囲の大人が「困ったら言っていい」「休むのも大事な力」「助けを求めるのは勇気だよ」と一貫して伝え続けることで、子どもは初めて安心して力を抜けるようになります。

2. “完璧じゃなくていい”という経験を積ませる
言葉だけではなく、実際の場面で「ミスしても大人が責めない」「70％で合格にしてあげる」「完璧を求めない環境づくり」などを行うことで、「100点じゃなくても大丈夫」という感覚が育ちます。

3. 心の負荷を軽くする習慣をつくる
予定を詰め込みすぎない
一日の中に“オフの時間”を作る
楽しい・安心できる趣味を持つ
言語化できない疲れに気づくチェック習慣
これらは真面目すぎる子の“暴走”を防ぐための大切な調整です。

4. 学校側との連携
スクールカウンセラー・担任・養護教諭と連携し、
宿題の調整
負荷の高い係・役割の軽減
無理のない登校ペース　を一緒に考えることも重要です。

“頑張りすぎる子”が安心して立ち止まれる場所を

真面目すぎる子どもは、
「できない」「つらい」「休みたい」を言えず、
周囲が気づく頃には心が限界に達していることがあります。

不登校は“突然”に見えることがありますが、
その多くは長い時間をかけて積み重なった頑張りの結果です。

これから必要なのは、
子どもが「助けて」と言える環境
ミスや弱音を許容する文化
家庭・学校・地域の連携
真面目さを“生きづらさ”にしない支援です。

子どもが「頑張らなくても嫌われない」「休んでも大丈夫」と感じられたとき、
真面目さは負担ではなく、力に変わっていきます。