1. 友人関係のトラブルが引き起こす不登校 。思春期の繊細なつまずき

行政

友人関係のトラブルが引き起こす不登校 。思春期の繊細なつまずき

2025.11.26(Wed)

文部科学省が公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査」では、
小・中学校における不登校児童生徒数が 299,048人 と過去最多を更新し、そのきっかけとして 「友人関係をめぐる問題」が24.8% を占めていると示されています。
(出典:文部科学省「令和4年度問題行動・不登校等調査」)

特に思春期の子どもたちは、友人関係の些細な変化やすれ違いが大きな不安やストレスにつながりやすく、「SNSのグループから外された」「既読スルーされ続ける」「体型や外見をからかわれた」といった出来事が、気づかないうちに学校への足取りを重くする原因になります。

スマホやSNSの普及、他者比較の機会の増加、家庭の共働き化により親が状況に気づきにくい環境など、友人関係をめぐる背景は年々複雑化しています。
本記事では、「友人関係のトラブル × 不登校」というテーマから、思春期の繊細なつまずきと向き合うための視点を整理します。

不登校が抱える大きな課題──“友だちとのすれ違い”が心を閉ざすとき

友人関係のトラブルは、大人が想像する以上に「居場所の喪失」として子どもを深く傷つけることがあります。特に思春期は、自己肯定感が揺らぎやすく、人間関係の変化に敏感な時期です。

・仲良しだと思っていた友達に急に避けられる
・SNSのグループから知らないうちに外される
・体型や外見についての軽い冗談が心に刺さる
・“同調圧力”が強く、断る・言い返すことが難しい
・共働き家庭の増加により、気持ちを話すタイミングがつかめない

こうした小さな出来事の積み重ねが「学校に行きたくない」という気持ちを強め、
やがて不登校へつながっていくケースは少なくありません。

また、現代のSNS環境では「学校外でもつながり続ける関係性」が一般化しており、
以前なら家に帰ればリセットされた人間関係が、スマホを通じてずっと続きます。
そのため、子どもにとって学校生活は「休まらない場」になりやすいという課題があります。

支援の鍵は“安心できる関係の再構築”──子どもが語りやすい場を整える

友人関係を原因とする不登校への支援は、
「トラブルを解決する」よりも先に、
子どもが安心して気持ちを話せる場を確保すること が重要だとされています。

・相談できる第三者の存在
担任以外にも、スクールカウンセラー、学年主任、スクールソーシャルワーカーなど、
複数の大人が“選べる相談先”として機能することが安心につながる。

・SNS・スマホトラブルへの理解
大人の価値観で「SNSなんてやめればいい」と切り捨ててしまうと、子どもはさらに孤立する。
どんな関係性で傷ついたのか、どんな場が負担になっているのかを丁寧に聞くことが大切。

・少人数の安心できる学びの場
いきなり元のクラスに戻すのではなく、特別教室・相談室登校など、
子どもが「ここなら大丈夫かも」と感じられる場所を用意する。

・学校と家庭の“気づきの共有”
共働き家庭などで子どもが悩みを言い出しづらい場合も多いため、
先生と家庭が柔らかく情報を共有する仕組みが有効。

友人関係のトラブルは、必ずしも「解決」できるものばかりではありません。
そのため、まずは 子どもの安心感を回復すること が、学校とのつながりを取り戻す第一歩になります。

見守る姿勢の大切さ──関係性に揺れる子どもたちへ寄り添うために

友人関係のつまずきは、思春期の子どもが抱えるごく自然な悩みでもありながら、
不登校へつながる大きなきっかけにもなりえます。
その揺れやすい心を「弱さ」と捉えるのではなく、その子なりのペースで人間関係を築こうとする姿だと考える視点も大切です。

また、文部科学省も「学びの多様性」や「子ども一人ひとりへの支援の充実」を方針として掲げており、友人関係の悩みを抱える子どもも含め、安心して学べる環境づくりが重要視されています。

これからの不登校支援では、「問題を早く解決する」こと以上に、
“安全だと思える関係性”を回復できる環境をどう整えていくか が鍵になりそうです。

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