1. “甘えているだけ”と言われてきた背景を読み解く──誤解が生む二次被害

行政

“甘えているだけ”と言われてきた背景を読み解く──誤解が生む二次被害

2025.11.27(Thu)

文部科学省が発表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査」によれば、
全国の不登校児童生徒数は 299,048人 と過去最多を更新しています。
同調査では、不登校の背景について「無気力」「不安」「生活リズムの乱れ」など、
目に見えにくい要因が多く含まれていることも明らかになりました。

それにもかかわらず、社会の一部では依然として
「不登校は甘えているだけ」
という誤解が根強く存在しています。
この思い込みは、子ども本人だけでなく、家族に対しても大きな負担を与え、
不登校そのものよりも深刻な “二次被害” を生むことがあります。

本記事では、不登校が“甘え”とされてきた歴史的背景と、
その誤解が子どもの心にどのような影響を与えるのかを整理し、支援の方向性を考えます。

“甘え”という誤解が生む心の傷

“甘え”という誤解が生む心の傷

不登校に対して「甘え」「怠け」「親のしつけ不足」といった言われ方がされる背景には、
長年の“学校は休むべきではない”という文化があります。
かつての日本社会では、学校に行くことが義務であり、
「行けば成長できる」「嫌でも行くものだ」という価値観が強く根付いていました。

しかし現代の不登校の多くは、「不安」「学校生活の負担」「友人関係のつまずき」「通学ストレス」「身体症状(頭痛・めまい・腹痛など)」「家庭環境の変化」といった“目に見えない疲れ”が主な背景にあります。

そうした状況にもかかわらず、周囲から「甘え」と言われてしまうと、
・自己肯定感の低下
・家族関係の悪化
・さらに学校から距離を置きたくなる
・不安・無気力の悪化
・相談行動の減少
・回復の遅れ

といった 二次被害 が生じます。

特に、家庭の中で「どうして行けないの?」「もう甘えは許さないよ」
と言われて追い詰められた子どもは、
本来の原因が改善されないまま、さらに苦しくなるケースが多く見られます。

支援の鍵は“甘えではないと理解すること”──背景の見える化と寄り添い

不登校を“甘え”と捉えず、「背景を丁寧に把握する」ことが支援の第一歩です。
以下のようなアプローチが効果的です。

● 1. 子どもが抱えている“見えない困難”を理解する

不安、環境ストレス、HSP気質、発達特性、身体症状、家庭の変化など、
子ども自身にしかわからない苦しさが背景にある場合が多くあります。
まずは「行けない理由は必ずある」という視点に立つことが大切です。

● 2. 本人が安心して話せる環境をつくる

不登校の子どもは「責められるのではないか」と感じて話せなくなるケースが多いです。
アドバイスよりも、
「そう感じていたんだね」「話してくれてありがとう」
という対話が、心の負担を減らします。

● 3. 家庭・学校・専門機関が連携する

不登校の原因が複数絡む場合、家庭だけで抱えるのは難しいことが多いです。
学校の相談担当、スクールカウンセラー、医療機関と連携しながら、
子どもの負担を少しずつ減らしていくことが必要です。

支援は「無理に学校へ行かせること」ではなく、
子どもが安心して“次の選択”ができる状態にもどすことを目指す必要があります。

未来を見つける視点──“甘え”では片付けられない不登校の理解へ

不登校を“甘え”と見なすことは、
子どもが抱えている本当の課題を覆い隠してしまいます。

文部科学省も、「不登校はどの子にも起こり得る状態であり、
環境要因や心理的要因が複雑に絡むもの」と繰り返し示しています。
不登校は本人の弱さではなく、今の環境や心の状態が“そうせざるを得ない”というサインでもあります。
これからの支援では、

・“甘え”という言葉で判断しない
・背景を丁寧に理解する
・子どもが安心して相談できる場を増やす
・家庭と学校が対立せず同じ方向を見る

という視点が大切になっていくでしょう。

誤解が生む二次被害を防ぐために必要なのは、「なぜ行けないのか」を一緒に探し、
子ども自身が「ここなら大丈夫」と思える環境を整えることです。

不登校は甘えではなく、子どもが発する“助けて”というサインなのだ
という理解が広がることで、子どもの回復のスピードも、支援の質も、確実に変わっていくはずです。

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