行政
周囲に理解されにくい“行けたり行けなかったり”の不登校──波のある状態に寄り添う
編集アカウント
44PV
2025.12.02(Tue)
文部科学省の「令和5年度 不登校等に関する調査」では、
不登校のきっかけとして 「複合的な要因」 が最も多く、
ひとつの出来事ではなく、
心身のコンディション・人間関係・学校環境の変化などが重なって“行けたり行けなかったり”の状態になる ことが示されています。
また、不登校状態にある子どものうち、
約55%が年間90日以上の長期欠席 に至っており、
“断続的に行ける日がある”という揺らぎが続いた結果、
徐々に学校から距離が生まれるケースも少なくありません。
一方で、不登校の子どもの 約38.8%は、学校内外の相談機関に繋がれていない というデータもあり、
行けたり行けなかったりする段階で支援が届かず、
「その日の調子次第」で揺れ動く状態が長引いてしまう現状も見えてきます。
行ける日は行ける。
行けない日は身体も心も動かない。
その“波”は、子どもが必死でバランスを取ろうとしているサインなのかもしれません。
“波のある状態”は周囲から誤解されやすい
“行けたり行けなかったり”という状態は、不登校の中でも特に周囲から誤解されやすいタイプです。
● 「行ける日がある=サボりでは?」という誤解
大人は「昨日は行けたのに、今日は行けない」という状況を理解しづらく、
本人も説明できないため、「怠けているのでは?」「気分次第では?」と判断されてしまうことがあります。
しかし実際は、心と身体のエネルギー残量がその日によって大きく揺れるという状態で、子ども自身が一番その変動に苦しんでいます。
● 本人が「自分でも理由が分からない」つらさ
行ける日は頑張って行く。でも次の日は疲れが一気に襲う。心が追いつかず、身体も動かなくなる。
だから本人は、なんで行けないのか分からない、行こうと思っても動けない、行けた日の翌日に“どっと落ちる”という 自己否定のループ に入ってしまいます。
● 周囲の期待とプレッシャーがさらなる負荷になる
「行けたんだから大丈夫だよね?」「明日は行けるよね?」
という“期待の言葉”が、子どもにとってはプレッシャーになり、波をさらに激しくしてしまうことがあります。
“波がある前提”で関わることが最大の支援になる
行けたり行けなかったりする状態は、決して異常でも怠けでもなく、
心が回復途中であるサイン です。
そのため、波を前提にした関わりが必要です。
① 「波があって当然」というスタンスで関わる
まず大人が、
「行ける日と行けない日があるのは普通のこと」
という理解を持つことが大前提です。
行けた日は“良い日”
行けない日は“悪い日”
と評価しないことが、子どもに安心感を与えます。
② エネルギー残量を可視化する仕組みをつくる
・朝の気分
・身体のだるさ
・不安の強さ
などを子どもが“見える化”できると、自分の状態を言語化しやすくなり、
「今日は無理のない範囲で行く」など、段階的な判断がしやすくなります。
例:
✔︎ 3段階のエネルギーメーター
✔︎ 〇×ではなく“できそうレベル”で判断
✔︎ 別室登校 → 時間短縮登校 → 通常登校のステップ化
③ 回復には「休む日」が必要だと大人が認識する
波の中には必ず“休息の波”が必要なタイミングがあります。
休みを「後退」と捉えるのではなく、次に進むための準備期間 として扱うことが重要です。
波は“問題”ではなく“回復のサイン”
行けたり行けなかったりする不登校は、
周囲が最も誤解しやすい“不安定な時期”です。
しかし、不安定であることこそが、子どもが回復へと向かっている証でもあります。
これからの支援で大切なのは、
・「波」を否定しないこと
・「行けること」をゴールにしないこと
・本人が自分のペースで選べる環境を整えることです。
不登校は一直線に改善するものではありません。
階段のように上がる日もあれば、坂道のようにゆっくりの日もあります。
大人がその波を理解し、“揺らぎに寄り添える社会”をつくることが、
子どもの未来を支える一歩になります。
関連記事
-
行政
2025.11.26(Wed)通学そのものがストレスになる理由──長時間の移動・満員電車の影響
編集アカウント26PV
-
行政
2025.11.27(Thu)真面目すぎる子どもがつまずく理由──“頑張りすぎて学校に行けなくなる瞬間”
編集アカウント48PV
-
行政
2025.11.27(Thu)頑張りすぎる子どもの危険信号──“いい子”ほど不登校になりやすい現実
編集アカウント29PV
-
行政
2025.11.27(Thu)小さなつまずきが積み重なるとき──“理由がわからない不登校”の正体
編集アカウント50PV
-
行政
2025.11.26(Wed)友人関係のトラブルが引き起こす不登校 。思春期の繊細なつまずき
編集アカウント23PV
-
行政
2025.11.26(Wed)家庭内の過度な期待が不登校を招くケース──プレッシャーの正体とは
編集アカウント24PV
-
行政
2025.11.26(Wed)学校の雰囲気が合わない──“なんとなく苦しい”が積み重なる背景
編集アカウント26PV
-
行政
2025.11.26(Wed)学校のルールや集団行動に馴染めない子どもたち──個性と規則のギャップ
編集アカウント24PV





