1. コロナ禍で変わった学校との距離感──新しい“不登校のかたち”

行政

コロナ禍で変わった学校との距離感──新しい“不登校のかたち”

2025.11.26(Wed)

近年、文部科学省の「令和 5 年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校における不登校児童生徒数が約 34万6千人 に達し、前年度から15.9%増という過去最多の水準となっています。

その背景には、言うまでもなく COVID‑19(コロナ禍)による学校生活の長期の変化や登校意欲の低下が要因として挙げられています。

コロナ禍で子どもたちは、何度も登校停止・オンライン授業・自宅待機という経験を重ねました。
その結果、学校という場との距離感が変わり、「家にいた方が安心」「学校へ行く理由が見えづらい」という声が増えてきています。

本記事では、「コロナ禍 × 不登校」という観点から、学校との距離感が変わった子どもたちの新しい“不登校のかたち”を整理します。

不登校が抱える大きな課題──コロナ後に変わった“登校へのハードル”

コロナ禍以降、子どもたちの学校との関係に変化が生じています。
まず、長期間の自宅待機やオンライン授業があったことで、学校の教室・授業・友人関係という“日常の風景”が一変しました。
子どもにとって「学校に行く=あたりまえ」だった感覚が揺らぎ、「自宅でも学べる」「学校へ行かない選択肢がある」という意識が生まれています。
その結果、登校意欲の低下や学びの場への迷いが生じやすくなります。
たとえば、「教室の雰囲気が変わった」「授業再開したけれど友達と関係が戻らない」「感染がこわくて出席をためらう」などの声が報告されています。
文部科学省の調査においても、長期欠席をした児童・生徒について「コロナ禍の影響による登校意欲の低下」が増加の背景として挙げられています。

さらに、学校復帰のタイミングを失った子どもにとっては、日常リズムが崩れたまま“学校へ行かない”状況が継続し、それが不登校定着のリスクになることもあります。
このように、コロナ禍によって“学校との距離感”が変わった子どもたちにとって、従来の不登校支援だけでは対応しきれない課題が浮上しています。

支援の鍵は“柔軟なつながり”──コロナ後の学びと登校意欲をつなぐ解決策

コロナ禍で変わった学校との距離感に対応するためには、従来の「毎日登校/集団一斉授業」モデルだけでなく、子どもそれぞれのペースで“学校とのつながり”を維持・再構築する支援が重要です。
具体的な支援の方向性としては以下が考えられます。

・ハイブリッド型の学びの場の設定:オンライン授業・録画授業・教室参加の併用により、子どもが「体調・気分・状況」に応じて選べる登校スタイルを整備。

・登校と非登校の間の“移行支援”:長期自宅待機のあった子どもには、数時間登校・少人数クラス・相談時間を設けて“学校との関係を少しずつ取り戻す”ための仕組みを設ける。

・教職員・学校の“学校との距離感”に関する理解促進:コロナ禍で変わった子どもの意識を理解するために、教職員が「学校に行かないこと=悪ではない。まずはつながりを維持しよう」という意識を共有する。

・スマホ・SNSを活用した“つながりのセーフティネット”:登校できない時期も、オンライン相談・クラスのチャット・簡易ライブ授業などを通じて、子どもが“学校から切り離されている”と感じない関係性を維持する。

・家庭・地域との連携強化:自宅待機が続いた子どもにとって、家庭と学校・地域の連携が安心につながる。保護者・地域支援者・学校が情報を共有し、状況を見える化する取り組みが効果的です。
このように、コロナ後の不登校支援では「学校に戻す」だけでなく、「学校との距離をゆるやかに保つ」ことを前提にした支援スタイルが求められてきます。

未来を見据えて──“学校とのつながり”を維持する新しい学びのあり方

コロナ禍で多くの子どもたちが経験した「学校に行けない」「家にいる時間が長くなった」という状況は、単なる一過性の課題ではなく、学校・学び・居場所という枠組みを再考させる契機となっています。
文部科学省も、不登校支援において「誰一人取り残されない学びの保障」を掲げ、子どもが学校に行かなくても学びや交流にアクセスできる環境づくりを進めています。
これからの時代、学校との距離感が変わった子どもたちに対しては、

・学びと登校のどちらかを優先するのではなく、両者のバランスをどうデザインするか

・“学校に行かなくてもつながる”という選択肢を安心につなげる

・学校・家庭・地域が柔軟な役割分担をしながら子どもを見守る

といった視点がますます重要になってきます。

キーワードである「コロナ禍」「不登校」「学校との距離感」「登校意欲低下」「学びの場」「オンライン学習」を意識しつつ、子どもたちが「学校に行きづらい/行きたくない」と感じたときでも、学びや人とのつながりを失わないような仕組みが今、問われています。

今後、不登校支援は“行かせる”から“つなげる”へ、より子ども一人ひとりのペースに寄り添った支援へと進化していく必要があるでしょう。

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