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メンタルヘルスの低下と不登校──自己肯定感の落ち込みが起こす負の連鎖
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2025.11.27(Thu)
近年、文部科学省が公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、小・中学校における不登校児童生徒数が 約29万9千人、児童生徒全体の3.2%(中学生では6.0%) に達し、過去5年間で増加傾向にあります。
また、この調査には「無気力・不安」を主因とする不登校の割合が年々増えているという指摘もあります。
こうした背景の中で、子どもたちの「心の健康=メンタルヘルス」が揺らぎ、特に 自己肯定感の低下 が学校生活・学びの場から離れてしまう第一歩になっていると考えられます。
自己肯定感が低いと、「自分には価値がない」「学校に居る意味がない」と感じてしまうこともあり、それが登校への意欲低下、不登校へとつながる負の連鎖を生むことがあります。
本記事では、メンタルヘルスの低下と不登校という関係性を、特に自己肯定感の観点から整理し、支援の方向性を探ります。
“自己肯定感が低い”ことが子どもの心理に与える影響
自己肯定感とは、自分自身を「価値ある存在」「ありのままでいい存在」と感じられる心の状態を指します。
しかし多くの子どもが、以下のような経験を通して自己肯定感を傷つけられ、不登校につながるケースがあります。
・学校の授業についていけないと感じ、「自分はできない」と思う
・友人関係・部活動・集団生活で「自分だけ浮いている」と感じる
・家庭や教師からの期待・叱責に「どうして私はダメなのか」と感じる
・休みがち・授業を休む → 学びが遅れる →「今さら戻れない」と感じる
・朝起きられない・体調が優れない →「怠けている」と言われる恐れから自己否定に陥る
こうした状態が続くと、子どもは「学校に行く意味がわからない」「誰にも認められていない」と感じ、心の底に“居場所のなさ”を抱えてしまいます。
その結果、メンタルヘルス(精神的・心理的な健康)が低下し、登校意欲を喪失、さらには不登校という状況に至ることがあるのです。
この「自己肯定感の低下 → メンタルヘルスの揺らぎ →不登校」という構図を理解することは、支援の第一歩となります。
支援の鍵は“自己肯定感を取り戻す支援”──心の負担を軽くする関わり方
自己肯定感が低下してしまった子どもに対しては、まず「価値を感じられる体験」を少しずつ積んでいける支援が重要です。以下のアプローチが有効です。
1:小さな成功体験を積む場をつくる
通常授業だけでなく、得意なこと・興味のあることを活かせる授業・活動を紹介し、
「自分にもできる」感覚を取り戻す機会をつくります。
2:安心して話せる関係性・場を確保する
「自分の感情を否定されない」「話していい」という安心感が、自己肯定感回復の基盤になります。
家庭・学校・相談機関で、子どもが気持ちを伝えられる場を設けることが大切です。
3:メンタルヘルスを意識した日常支援
睡眠・食事・運動・休息など身体的・心理的な調整が、心の状態に直接影響します。
早期に支援につながるよう、学校・保護者・専門機関が情報を共有することも効果的です。
4:学びの場とのつながりを維持する
不登校に陥ると「学びから離れている自分」に気づき、「戻れない」と感じることがあります。
学びの機会(オンライン・別室登校・家庭学習)の選択肢を提示し、
「自分でも学び続けられる」という安心を提供することが重要です。
こうした支援を通じて、自己肯定感を少しずつ回復させ、メンタルヘルスの低下をくい止めることが、「学校とのつながりを断たない」「再び登校できる」ための支えになります。
未来を見据えて──“価値を感じられる子ども”への支援を目指して
自己肯定感の低さは「子どもだけの問題」ではなく、
学校・家庭・社会が関わる“環境の問題”とも言えます。
子どもが「自分は価値がある」「自分には居場所がある」と感じることができる環境を整えること――それが、メンタルヘルスを守り、不登校を防ぐ上で重要です。
文部科学省も、「誰一人取り残されない学びの保障」に向けて、
不登校や学びの機会を持てない子どもたちに対して支援の強化を図っています。
今後、学校・家族・地域が共有すべき視点は、
・成績・出席だけで“できている/いない”と判断しない
・子どもが安心して相談できる場を整える
・学び・活動・人との関わりの選択肢を広げることにあります。
「自己肯定感を上げるにはどうしたらいい?」という問いは、
単に「褒める」「成功体験を増やす」だけではなく、
「子どもが自分を大切に感じられる関わり」「環境そのものが自分に合っていると感じられる経験」を重ねることが鍵です。
メンタルヘルスが低下した子どもが不登校に至る負の連鎖から抜け出せるよう、
支援は“その子の価値を取り戻す”という視点を持って進められるべきです。
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