1. 不登校は子どもだけの問題じゃない──親が抱える孤独と罪悪感

行政

不登校は子どもだけの問題じゃない──親が抱える孤独と罪悪感

2025.11.27(Thu)

近年、文部科学省が公表した「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によれば、病気や経済的理由を除いた心理・社会的要因による長期欠席(不登校)児童生徒数が 約34万6,000人 に達し、11年連続で増加しています。

この膨らむ不登校の背景では、子ども自身の心や身体の負担に目が向きがちですが、実際には 親が抱える孤独や罪悪感 が子どもたちの登校や学びに深く影響を与えていることも少なくありません。

「うちの子に限って」「そんなに長く休むなんて」
――そんな思いとともに、周囲の視線や自身への疑問が渦を巻き、前の見えない日々に押しつぶされそうになる保護者も多く存在しています。

親が感じる“追いつめられた日常”

不登校が子どもだけの問題として片付けられがちですが、実際には家庭という場にも大きな影響が波及します。親が直面する困難として、次のようなものがあります。

⚫︎周囲の視線と比較のプレッシャー
 「他の子は毎日通えてるのに」「うちは普通じゃないの?」という思いから、親は他家庭と自分を比較し、罪悪感を抱えやすくなります。

⚫︎“うちの子だけ”という孤立感
 学校や地域で「みんな通ってる」「通わなきゃダメ」と感じられる中、子どもが通えないことによって、親自身が「取り残されている」と感じることがあります。

⚫︎先の見えない不安と焦り
 「いつになったら行けるの?」「このままだとどうなる?」という問いが、親の心に重くのしかかり、心身ともに疲弊する日々につながります。

⚫︎家庭内での役割と重圧の増大
 子どもが家にいる時間が長くなれば、親は教える・接する・ケアする役割が増え、休息が取れなくなってしまうこともあります。

⚫︎支援情報とのズレ
 支援を探しても「診断がないと使えない」「相談窓口のハードルが高い」と感じることがあり、親が“解決できていない”という自己責任感を抱えてしまうケースもあります.

こうした背景では、子どもの不登校は「家庭の失敗」という誤った理解を生み、親がさらに追い込まれてしまうという二次被害が起きやすいのです。

解決策──親自身の立場を支えることが、不登校支援の出発点

親が抱える孤独と罪悪感を軽くするためには、子どもへの直接の支援だけではなく、親自身を支える仕組みづくりが重要です。具体的には次のような取り組みが有効です。

⚫︎安心して話せる場を確保する
 「子どもが学校に行けないのは自分のせいではない」という理解をもてるよう、同じ経験を持つ保護者の会・相談支援機関・行政窓口など、親が気軽に話せるコミュニティを活用することが有効です。

⚫︎具体的な情報と選択肢を整理する
 支援制度・相談機関・別の学び方(ホームスクーリング・ネット学習・フレックス登校)などを整理し、親が“選びうる未来”を感じられるようサポートすることが大切です。

⚫︎子どもと家庭の環境を一緒に調整する
 学校・家庭・地域の“三者連携”によって、子どもの登校や学びのペースを調整できる体制が必要です。親が一人で背負い込むのではなく、チームで支えることが、親の心理的負荷を軽くします。

⚫︎親が自分の休息を意図的に確保する
 子どものケアに追われて休めない状況は長期化すると心の不調を生みやすいです。行政・地域・家族を巻き込みながら、「親も休んでいい」という安心を持つことが、子どもを支える基盤になります。

これらを通じて、親が「自分が悪いのかも」と感じる孤独な立場から脱し、子どもとともに進める“次の一歩”を見いだせるようになります。

不登校は親子で向き合うもの、孤立しないサポートを

不登校は確かに子どもに影響を与える出来事ですが、同時に親・家庭・地域にとっても大きな課題を伴う出来事です。親が感じる「孤独」「罪悪感」「焦り」は、子どもの不登校という現象をより複雑にし、回復の道を遠ざける可能性があります。
文部科学省が策定した “誰一人取り残されない学びの保障(COCOLOプラン)” においても、子どもの学びの機会確保だけでなく、背景にある家庭支援や相談体制の整備が重視されています。


これからの支援において重要なのは、親が「悪者」にならず、子どもとともに進める環境が整うことです。

・親が相談できるネットワークを持つ
・家庭と学校が対立ではなく協力できる
・子どもも親も“次の選択肢”を持てる

そうした支援が広がることで、親子ともに「ひとりじゃない」「道はひとつじゃない」と感じられる社会がつくられていくでしょう。
不登校を“子どもの問題”だけで終わらせず、親も支えられる場のある社会を共につくっていきたいものです。

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