1. 起立性調節障害と不登校。 “怠け”ではない身体のSOSを理解する

行政

起立性調節障害と不登校。 “怠け”ではない身体のSOSを理解する

2025.11.26(Wed)

近年、文部科学省が実施した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校における“不登校児童生徒数”は令和4年度で約29万9千人、児童生徒数全体の3.2%(中学生では6.0%)と過去最高を記録しています。
また、この調査では、不登校の要因として「身体の不調・生活リズムの乱れ」が約27%を占め、「先生のこと(30%)」に次ぐ高い割合となっています。

このような背景のもと、長く「怠け」「行きたくないだけ」と捉えられてきた不登校ですが、実は「身体のSOS」として現れる状態も少なくありません。中でも起立性調節障害(朝起きられない・立ちくらみ・倦怠感など)と不登校との関係が近年注目されています。

本記事では、「起立性調節障害×不登校」の観点から、子どもが抱える“身体のSOS”を理解し、学校復帰/学びの場の確保に向けた支援のあり方を整理します。

不登校が抱える大きな課題──起立性調節障害による“身体の苦しみ”を見逃さない

子どもが「朝起きられない」「学校に行けない」と告げたとき、それは単なる甘えや怠けではなく、身体からの強いサインである可能性があります。
起立性調節障害(以下 OD)は、立ち上がったときや起床時に脳血流が低下し、めまい・頭痛・全身倦怠感・動悸などの症状を伴う自律神経系の病気です。

このような身体症状が続くと、子どもは「学びの場=苦痛の場」と感じるようになり、次第に登校を回避し、学習機会を失う「不登校」の道をたどることが少なくありません。実際に、ODが不登校・引きこもりへの入口になったという研究も報告されています。

さらに、学校現場では「朝起きられない」「体調が悪い」という子どもの訴えを、十分な理解なく“怠け”や“サボり”として捉えてしまうケースがあり、その認識ギャップが支援を遅らせる大きな壁です。文部科学省の調査でも、きっかけとして「身体の不調・生活リズムの乱れ」が27%を占めており、身体的要因の重要性が明らかになっています。

このように、「起立性調節障害+不登校」という構図を理解せずに支援を進めると、子どもを“見えない壁”の中に閉じ込めてしまいかねません。安心して学べる学びの場を保障するためには、まずこの課題を可視化しなければならないのです。

支援の鍵は“身体を理解する”こと──起立性調節障害に着目した解決策

起立性調節障害が要因となった不登校に対しては、支援が“学びの場”を整えるだけでは不十分です。以下のような多面的なアプローチが必要です。

・医療・専門機関との連携:ODの診断・治療を早期に受けることで、体調不良の原因を明らかにし、学校復帰への土台を整える。

・柔軟な学習機会の確保:「学校に行く/行かない」の二択ではなく、自宅での学び・登校選択制・時差登校など、子どもの身体状況に応じた“学びの場”を設ける。文部科学省も不登校児童生徒の学びの機会確保を重視しています。

・生活リズム・自律神経ケア支援:朝起きることが苦しい・立ちくらみがある場合、生活習慣・睡眠・栄養・運動といった自律神経の安定化を図る支援が有効。子ども自身と家庭が“身体のSOS”を理解することが大切です。

・学校・教職員の理解促進:子どもの身体的な訴えを「怠け」と捉えず、「身体の調子が整えば学びにつながる」という視点で、教職員研修や支援体制を整備することです。

これらを連携させることで、「起立性調節障害が引き起こす不登校」の悪循環を断ち切り、子どもの学びや交流を再び支えることが可能になります。

未来を見据えて──“身体からのSOS”を学びの機会につなげるために

起立性調節障害を含む身体的な理由で不登校に至る子どもたちは、決して「怠けている」わけではありません。むしろ、身体から発せられるSOSを丁寧に受け止める姿勢こそが、安心して学べる環境を考える上で重要な視点になっています。

教育現場・学校・家庭・医療・行政など、子どもを取り巻くさまざまな立場の人々が、それぞれの役割を生かしながら、「身体の調子を整える ⇨ 学びに接続する」という流れを支える取り組みが広がりつつあります。

また、文部科学省が掲げる「誰一人取り残されない学びの保障」(COCOLOプラン)でも、身体的要因を抱える子どもたちを含めた支援体制の充実が重視されています。こうした流れは、子どもたちが置かれている状況を理解するうえでも大切な視点といえそうです。

これからの不登校支援では、学びの場を“量”として増やすだけではなく、“質”──つまり 子どもの身体・心・生活リズムに沿った関わり が求められる場面が増えていきます。

「起立性調節障害」「不登校」「身体のSOS」「学びの場」「学校復帰」といったキーワードが示すように、子どもが自分らしく在れる環境について、周囲がどのように支えていけるのかを考えることが、今後ますます重要になっていくように感じられます。

引用元:
一般社団法人 起立性調節障害改善協会
https://odod.or.jp/kiritsusei-kodomood-802/?utm_source=chatgpt.com

文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究報告書
https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf?
utm_source=chatgpt.com

令和2年度 不登校自動生徒の実態調査
https://www.mext.go.jp/content/20211006-mxt_jidou02-000018318-2.pdf?utm_source=chatgpt.com

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