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学校事故やトラウマ体験から登校が難しくなる子どもたち
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2025.11.27(Thu)
文部科学省が公表した「児童生徒の自殺予防に関する取組状況調査」(令和5年度)では、
子どもが抱える心理的負担や不安が学校生活に影響を及ぼし、
心的ストレスやトラウマ体験が学びへの参加を困難にする ケースが増えていることが指摘されています。同省は「不登校は特定の原因だけでなく、心理的背景が複雑に絡み合う」とし、子ども一人ひとりの状況を丁寧に受けとめた支援の必要性を強調しています。
事故やケガ、暴力的な出来事、突然の恐怖体験――学校という場で予期せぬ出来事を経験した子どもは、その体験が“心の傷(トラウマ)”となり、教室や校舎を見るだけで身体が固まる、登校準備だけで涙が出てしまう、といった反応が生じることがあります。
本記事では、事故やトラウマ体験が不登校につながる背景と、
子どもが安全と安心を取り戻すための支援の方向性を整理します。
不登校が抱える大きな課題──“トラウマ反応”は努力では乗り越えられない
トラウマとは、強烈な恐怖やショックを受けた出来事が心に刻まれ、
その後の生活や行動に影響を及ぼす心の反応を指します。
学校の場合、以下のような体験がきっかけになることがあります。
・教室での事故・ケガ
・体育の授業でのアクシデント
・急病・救急搬送などの恐怖体験
・友達とのトラブル・暴力的な場面
・教職員との衝突
・クラス全体の前での恥ずかしい出来事
・災害・避難訓練で強い恐怖を感じた
こうした出来事は、子どもの心の中に「学校=危険な場所」「もう同じ場に戻れない」というイメージとして強く残ります。
トラウマ反応は“気の持ちよう”や“頑張り”では解決できません。
そのため、次のような状態が続くことがあります。
・学校の近くに行くと体が固まる
・朝、吐き気・頭痛・腹痛が出る
・学校を思い出すだけで涙が出てくる
・登校しようとすると手が震える
・「また同じことが起こるのでは」と強い不安が湧く
これらは怠けではなく、心が“危険から身を守ろう”として自然に起こる反応です。
しかし、周囲がこの反応を理解できないと、「どうして行けないの?」「そろそろ頑張らないと」
と追い詰めてしまい、症状を悪化させる“二次被害”が起きることもあります。
支援の鍵は“急がせないこと”──トラウマは時間と新しい経験で薄れていく
トラウマケアの基本は、「急かさない」「否定しない」「無理に克服させない」という姿勢です。
トラウマは“乗り越える”ものというより、時間と経験によって少しずつ薄れていくものです。
有効な支援としては次のような方法があります。
● 1. 安心できる環境で日常を取り戻す
家庭・別室・オンラインなど、“安全だと感じられる場”から再スタートすることが有効です。
安全感が心の回復の第一歩になります。
● 2. 新しいポジティブな経験を積み重ねる
トラウマ体験は強烈な記憶ですが、
新しい安心できる経験を上書きしていくことで、記憶の強さが薄れていきます。
・得意なことをする
・好きな人と関わる
・小さな成功を積む
・不安の少ない活動から参加する
こうした“小さな上書き”が心の力を取り戻す鍵になります。
● 3. 専門家と連携しながら、少しずつ「安全の範囲」を広げる
カウンセラー・医療機関との連携は、
子どもの負担を減らしながら、「安全だと思える範囲」を広げる助けになります。
段階的な登校、短時間登校、付き添い登校など、
無理のないステップを踏むことが大切です。
トラウマ反応を“克服させる”必要はありません。子どものペースで、時間を薬のように使いながら、
心が自然に回復するのを支えることが重要です。
未来を見つめて──“安全を感じられる学校づくり”がトラウマからの回復を支える
トラウマ体験は、子どもにとって「もうあの場所に戻れない」と感じさせるほど大きな出来事です。
そのため、学校側が安全を丁寧に保証し、子どもが安心できる環境を整えていくことが欠かせません。
文部科学省も、学校現場における「心のケア」「個別最適な学び」「安心・安全な学習環境」の整備を推進しており、事故後の心のケアや、トラウマが原因で登校が難しい子どもへの支援体制が重視されています。
これからの不登校支援では、
・子どもが安心できる場の確保
・無理をさせない段階的な復帰
・専門家と学校・家庭の連携
・ポジティブな経験の積み重ね
といったアプローチがさらに必要になっていくはずです。
トラウマは「なかったこと」にはできませんが、
新しい経験と時間によって、確実に“薄まっていく”心の反応です。
子どもが再び「ここは大丈夫」「安心して過ごせる」と感じられる場所が増えることで、
学校とのつながりも自然と回復していきます。
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